動悸がする(1日以内)
結果をもとに適切な病院・診療所を提案します
動悸がする(1日以内)の基礎知識
概要
生活の中で日頃は感じない鼓動を突如として感じてしまうことがあります。原因は不整脈や頻脈のことが多いですが、実はメンタルの影響のこともあります。つまり、心臓が正常に動いていても動悸を感じてしまうことがあるので、慎重な原因検索が必要です。
動悸が数十分以上続く人や何回も繰り返すような人は医療機関で原因を調べてもらう必要があります。また、めまいや失神を伴うような動悸は危険な可能性が最も高いので、必ず受診してください。診療科は循環器内科が最適ですが、近くにない人は一般内科でも問題ありません。また、メンタルのゆらぎと連動して動悸がする人は精神科や心療内科の受診が望ましいです。
原因とメカニズム
動悸のほとんどが心臓の動きが日頃と違う場合に違和感を覚えることで起こります。多くが脈の乱れや頻脈によるものですが、メンタルに由来するものも少なくありません。また、頻度は低いですが心臓の病気(弁膜症や心臓内腫瘍)によるものもあります。
考えられる病気
動悸は多くの人が経験する、よくある症状です。一方で、その原因はさまざまで次のようなものが考えられます。
不整脈
頻度として最も多いのが不整脈です。不整脈には多くの種類があり、心房細動、心房粗動、発作性上質頻拍、発作性心室頻拍、期外収縮、洞不全、などが代表例です。
頻脈(洞性頻脈)
脈のリズムは乱れていないものの脈が速いことによって動悸が起こります。甲状腺機能亢進症(バセドウ病など)、貧血、薬剤、カフェイン多量摂取、低血糖、褐色細胞腫などが原因になります。また、自律神経失調症、妊娠、発熱でも脈が速くなることがあります。
メンタル(心因性)
精神的、心理的な要因で動悸が起こることあります。動悸を感じていても、脈は乱れておらず、早くもなっていないことも少なくありません。パニック障害、全般性不安障害でよく見られ、特にパニック発作では死んでしまうと思うほどの不安や恐怖と同時に、動悸を感じることがあります。また、更年期障害でも動悸を覚えることがあります。心因性の動悸は状況の把握がとても重要になってくるので、お医者さんの問診には正直に答えるようにしてください。
その他
弁膜症(大動脈弁閉鎖不全症、僧帽弁逸脱症、僧帽弁閉鎖不全など)や心臓内腫瘍(粘液腫)などで動悸が起こることがあります。心臓超音波(エコー)検査で調べてもらえるので、動悸が続く人は受診するようにしてください。
急な動悸に潜んでいる怖い病気
動悸を起こすものの中に怖い病気が潜んでいることがあります。動悸とともにめまいや失神がある人は危険度が高いと考えてください。
心室細動
突然の動悸とともに数秒から十秒ほどで意識を失います。この病気は直ちに除細動しないと死に至ります。AEDがある場合は周囲の人がすぐに電極を装着してあげる必要があります。難しい場合は心臓マッサージをしながら救急車を呼んでください。
心室頻拍
この病気のほとんどは失神を起こしませんが、長い時間続く場合は失神に至ることがあります。まれに心室細動に移行することがあるので、失神があった場合は決して放置しないでください。
ペースメーカー不全
もとから不整脈があるためペースメーカーを入れている人が突然感じる動悸は要注意です。理論上ペースメーカーが入っていれば脈は一定のリズムで打たれるはずですので、うまく作動していない可能性があります。ペースメーカーが入っている人が動悸を感じた場合はすぐに医療機関を受診してください。
受診の目安
次のような動悸が見られた場合は我慢せずに受診することが望ましいです。
- 失神を伴った動悸
- めまいを伴った動悸
- ずっと続いている動悸
- 息切れ、息苦しさを伴っている動悸
診療科
循環器内科
動悸がある人が最も受診するべき診療科です。不整脈や頻脈のみならず、動悸に潜む心臓の病気の診断・治療ができます。
一般内科
一般内科でも不整脈や心臓の病気を診断できますが、検査や診断の精度は循環器内科を受診した場合よりも劣ることが多いです。一方で、貧血、バセドウ病、薬の影響など、原因を多角的に調べることに慣れた医師が多いです。また、診察した結果に応じて、循環器内科や心療内科、精神科に紹介してくれます。
精神科・心療内科
パニック障害、全般性不安障害などメンタルに関連した動悸が疑われるときは、精神科や心療内科の受診が望ましいです。特にパニック発作(突然息苦しさ、動悸、めまい、発汗などの症状と同時に、死んでしまうという強い不安、恐怖感に襲われる発作)がある場合は、我慢せずに受診を考えてみてください。
検査
安静時心電図
心臓を動かす電気信号の向きや大きさを調べる検査です。不整脈や頻脈の有無を確認し診断するのに必要です。 およそ十秒から数分の測定時間となります。
24時間ホルター心電図
安静時心電図で異常が見られない人が受ける検査です。心臓の電気刺激を調べる原理は安静時心電図と同じですが、測定時間が24時間と長いのが特徴です。一時的に不整脈や頻脈が出る人に適しています。
心臓超音波(エコー)検査
超音波を用いて主に心臓の動きや血流について調べる検査です。大動脈弁狭窄症や僧帽弁逸脱症といった弁膜症や心筋症、急性冠症候群(狭心症、心筋梗塞)などの診断の役に立ちます。
血液検査
血液中の血球やタンパク質、電解質などを調べる検査です。動悸に関連した貧血や甲状腺機能、心臓の状況などを調べることができます。
治療
動悸の原因は多岐にわたりますが、治療はその各々の原因に応じたものが行われます。具体的には脈を整える薬や脈を抑える薬、抗不安薬などがそれにあたります。
セルフケア
動悸が出た人はまずは落ち着いて深呼吸をしてみてください。また、余裕があれば脈を触れて、どの程度の速さなのかやリズムに乱れがないかを確認してみると良いです。そして、動悸が持続する時間をカウントしてみてください。受診する際に脈の速さや乱れの有無を医師に伝えると重要な情報となります。
動悸は交感神経の高ぶりと連動していことが多いです。リラックスタイムを設けて少し生活スタイルを変えてみると良いかもしれません。
動悸が続くと不快感や不安感が襲ってくることがあります。これらを放置しておくと生活の質が下がるので、動悸に悩みを感じているならば受診のタイミングです。また、めまいや失神を伴う際にはセルフケアに頼ろうとせずにできるだけ早く医療機関を受診してください。