急に大便に血が混じる(数日以内)
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急に大便に血が混じる(数日以内)の基礎知識
概要
大便に赤い血が混じる症状の多くは、小腸や大腸からの出血(下部消化管出血)が原因で起こります。その中でも数日以内と比較的急に起こる出血では、痔核、憩室出血、虚血性腸炎などの病気の可能性があります。
出血の量が多い、強い腹痛がある、冷や汗やふらつきがある、などの症状が見られる人は緊急の検査や治療が必要です。急いで内科、消化器内科、または救急外来を受診してください。
なお、大便の色が墨やコールタールのように真っ黒になることがあります。これを黒色便と呼び、食道や胃、十二指腸といった上部消化管からの出血を示すサインです。黒色便が見られた場合も急いで医療機関を受診しましょう。
上記の危険なサインが見られない人は、内科、消化器内科、小児科などを受診して出血の原因を詳しく調べてもらってください。
原因とメカニズム
赤色や黒色の血便は、3種類に分けると考えやすいです。
①便の表面に赤い血が付く:ほとんどの場合、痔核(いわゆる痔)が原因です。便の表面やトイレットペーパーに少しだけ赤い血が付着していることが多いです。痔でしたら、あまり心配はいりません。
多くはないのですが、他の原因として裂肛や肛門周囲の皮膚の病気、直腸炎の可能性もあります。
②便全体に血が混じっている:医学的には下血とも言います。潰瘍性大腸炎、クローン病、大腸憩室症などが考えられます。一般的に胃・十二指腸潰瘍では黒色便になりますが、大量に出血した場合は下血になることもあります。アメーバ赤痢や出血性大腸炎など、腸炎が原因のこともあります。
③便が黒い:胃・十二指腸からの出血の場合、便として出てくるまでに数時間以上かかるため、便が黒くなります。胃・十二指腸潰瘍などが考えられます。
貧血の治療として鉄剤を内服している場合も、黒色便となることがあります。
症状から考えられる病気
「原因とメカニズム」で説明しましたように、血便は3種類に分けると考えやすいです。その他の症状から分かることも説明します。
腹痛や下痢がある
アメーバ赤痢や出血性大腸炎などの胃腸炎、クローン病や潰瘍性大腸炎の可能性もあります。
数週間、血便が続いている
若い人ではクローン病、潰瘍性大腸炎が、高齢者では大腸がんが考えられます。
高齢者で突然の腹痛、下痢、下血が起きた
虚血性大腸炎の可能性があります。
乳幼児の場合
腸重積の可能性もあります。
怖い病気
原因に関係なく、大量に出血した場合は危険です。
受診の目安
・下血や黒色便が出ている
・腹痛が強い
・血便が1週間以上続いている
診療科
消化器内科・肛門科
消化器内科が適しています。肛門を診察したり、大腸カメラを行ったりします。
検査
血液検査
貧血の程度を調べる必要があります。
大腸カメラ(下部消化管内視鏡検査)
下血の原因を調べるのに役立ちます。クローン病、潰瘍性大腸炎、大腸がん、虚血性大腸炎などが分かります。
胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)
黒色便のときに行われます。胃・十二指腸潰瘍が分かります。
治療
原因の病気に応じた治療がされます。
出血量が多く貧血になっている場合は、鉄剤の内服をします。