ろれつが回らない
結果をもとに適切な病院・診療所を提案します
ろれつが回らないの基礎知識
概要
ろれつが回らないのは、脳や神経が関係した症状であることが多いです。酩酊のようにあまり問題にならない原因もありますが、基本的には重大な病気が疑われます。
特に、あるとき突然症状が出現した人は脳卒中の可能性が高いです。すぐに救急科、脳神経外科、脳神経内科などを受診してください。必要に応じて救急車を呼んでください。
月単位でゆっくりと進行する症状で困っている人は、脳卒中よりはその他の神経の病気が考えやすいです。このような人は神経内科で相談してください。
原因とメカニズム
人間が言葉をしゃべるとき、まず頭のなかの考えを言葉にして、喉の奥の声帯を震わせることで音を出し、口や唇・舌・頬を動かして形を変えることで、音として発することができます。ろれつが回らない、舌がもつれるのは、口や唇・舌・頬の筋肉が麻痺してうまく動かせないことが原因です。
医学的には、構音障害と呼ばれます。頭のなかの考えをうまく言葉に出来ない状態は、失語症と呼ばれます。失語症にも様々なパターンがあり、ものの名前が出てこない場合や音を間違う場合(「とけい」を「めけい」と言う)、単語を間違う場合(「とけい」を「めがね」と言う)などがあります。
考えられる病気
脳卒中
脳梗塞、脳出血、くも膜下出血などを総称して脳卒中と呼びます。脳の血管に障害が起きる病気であり、急にろれつが回らなくなることがあります。治療は分単位で急がれることが多いです。
一過性脳虚血発作(TIA)
一過性脳虚血発作(TIA)は脳梗塞と同様に、脳の血管が詰まることによってろれつが回らなくなるなどの症状が急に出現します。その後、血管の詰まりが自然に改善することによって、症状もなくなります。しかし、近いうちに脳梗塞を起こす人が多いため、症状が改善したとしても速やかに医療機関を受診してください。
その他の神経疾患
神経の病気の中でも、数週間から数ヶ月以上かけてゆっくり進行する病気もあります。例えばパーキンソン病やALS(筋萎縮性側索硬化症)などです。脳腫瘍の可能性もあります。しかしこういった神経の病気がある人では、例えば手足の力が落ちてくるなど、ろれつが回らない以外が目立ちます。
受診の目安
以下のような時は危険な病気の可能性があるので、すぐに受診です。
・あるとき突然起きた
・頭痛がある
・手足が動きにくい
・意識がぼんやりしている
酩酊など明らかにわかっている原因がない限り、ろれつが回らないのは重大な病気が隠れていると考えて行動するのが無難です。一過性脳虚血発作(TIA)の可能性もあるので、一時的な症状のみで改善したとしても速やかに医療機関を受診してください。
診療科
救急科
症状があるとき突然起きた人は、脳卒中の可能性があります。救急科や救急車の要請が適しています。
神経内科
ろれつが回らないとき、一番受診に適している診療科です。あるとき突然症状が始まった人から、数ヶ月かけてゆっくり進行する人まで、幅広く診察しています。しかし、クリニックなどではMRI検査などを含めた救急対応は難しいため、脳卒中が疑われる人は救急科や救急車の要請が適しています。
脳神経外科
脳卒中は診察できますが、ゆっくり進行する神経の病気の場合は神経内科の方が適しています。また、やはりクリニックなどではMRI検査などを含めた救急対応は難しいため、脳卒中が疑われる人は救急科や救急車の要請が適しています。
検査
頭のCT検査、MRI検査
脳卒中(脳梗塞や脳出血)、脳腫瘍、神経の病気を診断するのに役に立ちます。脳梗塞を見つけるためにはMRI検査が特に有用ですが、小規模な医療機関では通常は行っていません。
治療
原因の病気に対して、治療が行われます。診断がついた後には、リハビリを行うことが大切です。言語聴覚士(ST)という専門の医療職と一緒にリハビリを行うことができます。発音自体を良くする訓練だけでなく、ジェスチャーなどを使った意思表示など、構音障害を抱えながらも生活できるための工夫をすることができます。
セルフケア
ろれつが回らない人は、病院を受診して適切な診断、治療を受けることがまず第一です。
その上で、リハビリに関しては自身で行うことができます。言語聴覚士とリハビリをしながら、自分の発声の課題を知り、改善するためのトレーニングを教えてもらって、自分でも積極的に行ってみてください。