腰が痛い(1週間以上前から)
結果をもとに適切な病院・診療所を提案します
腰が痛い(1週間以上前から)の基礎知識
概要
腰痛は多くの人が経験する症状です。数日で改善する痛みであれば、重大な病気が隠れている可能性は低いです。ですので、腰痛以外に目立った症状がなく、腰痛が良くなっていくようであれば数日間は様子をみても良いです。
一方で、重大な病気が隠れていることもあります。具体的には、背骨の病気(腰椎椎間板ヘルニアや脊椎炎など)や、内臓の病気(膵炎や子宮内膜症)、精神面の病気(うつ病や適応障害)などです。ただ、毎回こうした病気を疑って検査をすることは現実的ではありませんし、腰痛は調べても原因が分からないことも珍しくはありません。そうした事実から、まずは経過をみるのは理にかなっていると考えられます。
1週間ほど経っても腰痛が良くなる兆しがない人は整形外科か内科で相談してみてください。詳しい検査の必要性を判断してくれますし、症状を和らげる治療もしてくれます。
原因とメカニズム
腰痛の原因はさまざまです。腰の骨、神経、筋肉の異変が原因のこともあれば、内臓の病気が影響していることもあります。また、うつ病や適応障害といった精神面の病気でも腰痛が現れることがあります。
考えられる病気
腰痛の原因となる病気はさまざまです。代表的なものを次で説明します。
腰椎椎間板ヘルニア
背骨は椎体という小さな骨がいくつも重なり合って構成されています。椎体と椎体の間には椎間板というクッションの役割をする構造物があります。加齢や激しいスポーツなどによって椎間板が変形することがあり、変形した椎間板が背骨の中にある神経を圧迫すると、腰痛の原因になります。この状態を腰椎椎間板ヘルニアといいます。腰痛以外にしびれなどの症状が現れます。
脊椎炎(強直生脊椎炎・脊椎カリエス・化膿性脊椎炎)
脊椎(背骨)に炎症が起こった状態です。炎症が起こっている部分を中心に痛みが生じます。原因はいくつかありますが、主に薬を使って治療を行います。
腰椎分離症・分離すべり症
腰椎の後方部分に亀裂が入ってしまった状態です。腰痛だけではなく、腰やお尻、太ももにしびれをともなうことがあります。また、腰を反らせたときに痛みが増すという特徴があります。腰椎分離症・分離滑り症の主な原因としては、身体が柔軟な青年期に、ジャンプや腰の回旋を繰り返して行うことが知られています。怪我というよりは慢性的な負担のために起こる病気です。
側弯症
側弯症は背骨が左右に曲がる病気です。曲がりが強くなると腰痛を感じます。はっきりとした原因は分かってはいませんが、女児に多いことがわかっており、程度によっては手術が必要です。
脊柱管狭窄症
脊柱管とは、背骨のところにあって脊髄という神経の束が通っている場所のことです。脊柱管が狭くなると、神経の束に悪影響を及ぼし腰痛の原因となります。
ロコモティブシンドローム
筋肉や骨、関節、椎間板などの運動器に障害が発生し、移動能力が低下した状態です。関節や筋肉の痛みも感じ、腰痛も多い症状の一つです。
脊椎腫瘍
背骨にできた腫瘍です。転移性(他の場所にできた腫瘍が転移してくるもの)と、原発性(背骨から腫瘍が発生するもの)の2つに分けられます。腫瘍が脊髄を圧迫すると、腰痛を自覚します。
脊髄腫瘍
脊髄(背骨の中にある神経の束)を覆う膜にできた腫瘍です。脊椎腫瘍と同様に転移性と原発性の2つに大別できます。腰の近くに腫瘍ができると神経に影響して腰痛の原因となります。
膵炎(慢性膵炎・急性膵炎)
膵臓は背中側にある臓器で、消化酵素を分泌する働きがあります。膵臓に炎症が起こると、背中や腰に痛みが現れます。
尿路結石
尿の通路に尿の成分の塊ができる病気です。腰痛や背部痛の原因になります。血尿をともなうことが多いです。
子宮内膜症
子宮内膜が子宮以外の場所にできる病気です。お腹の中に子宮内膜が発生すると腹痛や腰痛の症状が現れます。
子宮筋腫
子宮の筋肉が腫瘍化して、しこりなどを作る病気です。がんではなく良性の腫瘍なので、命に危険を及ぼすことはありません。子宮筋腫が大きくなるとその影響で腰痛が現れることがあります。
線維筋痛症
全身に痛みとこわばりが起こる病気です。痛みを伝える神経が過敏になることが原因だと考えられていますが、はっきりとしたことは分かっていません。腰痛も症状の一つです。
うつ病
悲しみや虚無感、怒りといった感情が持続することによって、さまざまな症状が現れる病気です。身体への影響もいくつかあり、その一つとして腰痛が知られています。腰痛の原因がうつ病であれば、うつ病の治療を行うことで症状の改善が期待できます。
適応障害
生活スタイルや環境などの変化によって、抑うつ気分や不安・心配などの精神症状が現れ、日常生活の大きな妨げになる病気です。精神面だけではなく、身体面にもさまざまな影響があり、しばしば腰痛も現れます。
怖い病気
脊椎炎や膵炎は短時間で進行する病気なので怖い病気だと考えられます。脊椎炎や膵炎であれば、腰痛以外の症状も現れることが多いです。それぞれのページで症状が記載されているので、当てはまる人は速やかに医療機関を受診してください。
受診の目安
症状が腰痛だけであれば、重大な病気が隠れている可能性は低いので、数日間は様子をみても良いです。一方で、重大な病気が隠れていることもあるので、他にも症状がある人はなるべく早く受診をしてください。
また、腰痛だけであっても、日常生活の妨げになっている人はすぐに受診したほうがいいです。お医者さんに相談することで原因が分かって精神的に楽になるかもしれませんし、よい腰痛の対処法を知ることができるかもしれません。
診療科
腰痛で困っている人はまず整形外科や内科を受診してください。腰痛の原因はさまざまですが、整形外科や内科で対応できるものが多いです。他の診療科での診察が必要な人には紹介してもらえます。
次にそれぞれの診療科の特徴について説明します。
整形外科
腰痛は骨や筋肉、神経などの異常によって起こることが多いので、整形外科が最初の相談先として適しています。整形外科で扱わない病気が原因の人には他の診療科を紹介してくれます。
内科
かかりつけの内科がある人は、腰痛についても主治医の先生に相談してみてください。痛み止め(飲み薬や湿布)の処方を受けられますし、紹介もしてくれます。
消化器内科
消化器は胃や大腸、肝臓、膵臓といった食べ物の消化に関わる臓器のことです。これらの臓器が原因として考えられる人には消化器内科が紹介されます。
泌尿器科
腎臓や膀胱といった排尿に関する臓器を扱う診療科です。尿路結石が疑われる人には泌尿器科が紹介されます。
婦人科
女性特有の臓器(子宮や卵巣)を調べてくれます。子宮筋腫や子宮内膜症が考えられる人には婦人科を紹介されます。
精神科
精神の病気の1つの症状として腰痛が現れることがあります。うつ病や適応障害といった病気の可能性がある人には精神科が紹介されます。
検査
慢性腰痛の人には次のような診察や検査が行われます。
問診・診察
質問票に記入をしたり、お医者さんと対話して困っている症状を伝えます。必要に応じて、視診(外見を観察すること)や触診(触れて状態を確かめること)も行われます。
レントゲン検査(X線検査)
X線を使った検査で、骨の形を調べるのに適しています。
CT検査
レントゲン検査と同じくX線を使った検査です。レントゲン検査より詳しく調べられますが、被ばく量が多いので、全員に行われるわけではありません。
MRI検査
磁気を利用した検査で、神経や靭帯の状態を調べるのに向いてます。MRI検査も、CT検査と同様で全員に行われるわけではありません。
血液検査
全身の病気や感染症の可能性がある人に行われます。血液成分を分析することにより炎症の有無や程度、電解質のバランスなどを調べることができます。
治療
原因によって治療は異なります。腰椎椎間板ヘルニアには手術が検討されますし、脊椎炎には薬物治療が行われます。他方、痛み止めによる対症療法や、リハビリテーションなどはどの原因であっても有効ですし、原因がはっきりしない段階でも行われます。
セルフケア
ストレッチやエクササイズがセルフケアとして有効なことがあります。ただし、闇雲にやるとかえって症状が悪化することがあるので、医師や理学療法士に方法を教わるとよいです。また、腰を冷やしたり温めたりするのも効果が期待できるかもしれません。腰痛のセルフケアについては「腰痛の対処法、自宅でできるものはありますか?」や「腰痛に対して日常生活で気を付けることはありますか?」で詳しく説明しているので、参考にしてみてください。