わきの下にしこりやできものがある
結果をもとに適切な病院・診療所を提案します
わきの下にしこりやできものがあるの基礎知識
概要
わきの下にあるリンパ節が腫れて、しこりやできものとして自覚することがあります。また、皮膚の異常によってしこりやできものができることがあります。
わきの下のリンパ節が腫れる原因には乳腺炎や乳がん、悪性リンパ腫などがあります。皮膚の異常には毛嚢炎や粉瘤といった病気があります。乳がんや悪性リンパ腫は命に危険を及ぼすこともある一方、乳腺炎や、毛嚢炎、粉瘤は程度によっては経過観察もできます。
しこりやできものが大きくなってきた場合、乳房にも症状がある場合、痛み・痒みなどをともなう場合はなるべく早く乳腺科や皮膚科を受診してください。
原因とメカニズム
わきの下にはリンパ節が多くあり、このリンパ節は乳房のリンパ節とつながっています。そのため、乳房の病気が影響してわきの下のリンパ節が腫れることがあります。具体的には乳がんや乳腺炎などです。乳腺炎は授乳している人にしばしばみられる病気です。また、脇の下の皮膚の病気をしこりやできものと感じることもあります。毛嚢炎や粉瘤といった病気が考えられます。
考えられる病気
わきの下のしこりやできものの原因はさまざまですが、主な原因として次のものが考えられます。
粉瘤
皮膚の下に袋状のスペースができ、老廃物が溜まってコブのようになったものです。硬い場合にはしこりやかたまりとして自覚することがあります。無症状のこともありますが、感染を起こすことがあり、痛みや腫れをともなうことがあります。
脂肪腫
脂肪細胞が良性の腫瘍化した病気です。良性腫瘍なので命に危険をおよぼすことはありません。ぷにぷにとした感触であることが多いです。
毛のう炎
毛穴に細菌が感染した病気です。カミソリ負けが原因になるので、脇の下の体毛を処理したあとにできることがあるかもしれません。毛のう炎になると、赤いぶつぶつができ、痛みをともなうこともあります。
乳腺炎
乳腺に炎症が起こった状態で、乳汁のうっ滞や細菌感染が原因になります。乳房の皮膚が赤くなったり腫れたりしこりができたりします。また、炎症が広がるとわきの下のリンパ節が腫れてしこりやかたまりとして感じることがあります。
乳がん
乳腺にできるがんのことです。がんには転移という性質があり、できた場所から移動し増殖をします。乳がんはわきの下のリンパ節に転移を起こしやすく、わきの下のしこりやかたまりとして気づくことがあります。
悪性リンパ腫
白血球の一種であるリンパ球が腫瘍化した病気を悪性リンパ腫といいます。悪性リンパ腫の症状としてリンパ節の腫れがあり、わきの下のリンパ節が腫れてしこりやかたまりとして自覚することがあります。
怖い病気
乳がんと悪性リンパ腫は悪性腫瘍なので、怖い病気に含まれます。他の病気も悪化すると完治までに時間がかかるのであなどることはできません。
受診の目安
しこりやできものの原因によっては経過をみることもできますが、次のような条件に当てはまる人はなるべく早く受診を検討してください。
- しこりやできものが大きくなってきた
- 乳房にも症状がある
- 痛み・痒みなどをともなう
しこりやできものが大きくなっている場合、病気が進行している可能性があります。また、乳房にもしこりや張りなどの症状がある人は乳腺炎や乳がんも考えなければなりません。
診療科
状況によって適した診療科が異なるので、診療科と病気を対応させながら説明していきます。
乳腺外科
乳房にしこりがある人は乳がんの可能性を調べる必要があるので、乳腺外科を受診してください。医療機関によっては乳腺外科ではなく一般外科として標榜していることがあります。受診前に確認するとよいです。
産婦人科
授乳中の人であれば乳腺炎の可能性が高くなります。授乳をしていてわきの下にしこりやかたまりがある人は、かかりつけの産婦人科で相談してみてください。
皮膚科
皮膚の病気もしこりやかたまりとして自覚することがあり、皮膚科で相談できます。乳房に症状がない女性や男性は皮膚科で相談することをお勧めします。
内科
近くに皮膚科がない場合には、内科で相談することも可能です。医療機関によっては超音波検査で調べてくれることもありますし、必要に応じて他の診療科に紹介してくれます。
検査
しこりやかたまりの原因を調べるために診察や検査を行い、その性質を調べます。
診察
お医者さんがしこりやかたまりの様子を観察したり触れたりして、特徴を調べます。粉瘤や毛嚢炎といった皮膚の病気は診察で判断がつくことが多いです。一方、リンパ節の腫れは診察だけでは原因が分からないので、他の検査も行われます。
超音波(エコー)検査
プローブと呼ばれる機械を身体に当てて、しこりの大きさや広がりなどを調べます。
血液検査
わきの下のしこりやかたまりがある人全員に行われるわけではありませんが、原因がはっきりしない場合や全身に症状が出ている人に行われます。
治療
原因に応じて治療は異なります。乳腺炎であれば、抗菌薬(抗生物質)が必要となることもありますし、粉瘤や乳がんであれば手術が選択肢になります。また、悪性の病気ではなく、症状も気にならないのであれば、経過観察も可能です。
セルフケア
有効なセルフケアが存在するものもあれば、特にないものもあります。例えば、乳腺炎では乳房のマッサージや搾乳が症状の回復を早めてくれるかもしれませんし、毛嚢炎では皮膚を清潔にケアすることが有効かもしれません。セルフケアは原因によって異なるので、受診時にお医者さんに尋ねてみてください。